意識的であることの価値
「ハートからのカウンセリング・トレーニング」より
ラハシャ・フリッチョフ・クラフト博士インタビュー
いわゆるスピリチュアル系の世界というかそういう情報に比較的長く接してきていると、かえって世の中の社会的常識との乖離に慣れるということがあるような気がします。
世間の常識とは自分は“ズレ”ているのだと一度思ってしまうと、それはそれである意味で楽なのですが、逆に世の中の常識の変化には鈍感になってしまう面もあります。
でも、昔は世間の常識とはずいぶんずれていたはずなのが、いまはかえって、世間の一般常識のほうがはるかに情報的には進んでいるように思われることもあります。
ただ、いわゆる一般世間の社会常識の“スピリチュアル情報”と、自分が思っているスピリチュアルというのとは、何かが違うと感じられることもあります。
そしてそれは、いわゆる「成功哲学」といったような世界に対するアプローチに一番大きく現れるような気がします。
つまり、一般世間でのスピリチュアル情報というのは、すべての情報がいわゆる「成功哲学」的な情報とシームレスにつながっているように思われたことでした。
昔自分が思っていた“スピリチュアル”というのは、そういう世界からの脱出を意味していたので、それでいろいろなことがチグハグだったのかなとも思われたりしたのでした。
今回ご紹介する、「ハートからのカウンセリング・トレーニング」の開発者のラハシャ・フリッチョフ・クラフト博士は、まさにスピリチュアルな世界のその両面に精通している方です。
今回のインタビュー記事には、そのあたりの微妙なニュアンスが現れていてとても面白いと思われました。
コーチングの世界で有名なトニー・ロビンス博士が“西洋ではすべての物事をビジネスの成功に結びつけて考える傾向がある”と指摘しているのがまさにそのことを感じさせてくれますね。
そして、ラハシャ博士がそれに「これは日本も含むと思いますが」とクールにコメントしているのが面白いと想いました。
では、ラハシャ・フリッチョフ・クラフト博士インタビュー「ハートからのカウンセリング・トレーニング」からそのあたりに関連する部分をご紹介します。
—————————————————————— 今丼 コース中、NLPで言うところの情報伝達の志向性についてのお話がありました。 一般的に、ビジネス界では感覚を伴わない「デジタル言語」が好んで用いられる傾向があるように思います。 こういった人たちに対してオーラソーマは有効でしょうか。
ラハシャ オーラソーマは、さまざまな感性に働きかける特徴的なアプローチですから、ある領域ではビジネスの世界でも用いられていますが、誰もが好むメインストリームのセラピーとまではならないのではないかと思っています。 人々が意識的であるために用いられる有効なブリッジ(手段)のひとつと言うことはできると思いますが。
ただビジネス界の人も、意識的であることを通じてビジネスを成長させることができるということがわかれば、関心を示すかもしれません。 以前、インドのワンネスユニバーシテイで、コーチングの世界で有名なトニー・ロビンスから興味深い話を聞きました。 彼によると、東洋では悟りのためにはあらゆる努力をしますが、西洋(これは日本も含むと思いますが)ではすべての物事をビジネスの成功に結びつけて考える傾向があるそうです。 でも、それは必ずしも悪いことではないですね。 意識的なビジネスは実際世の中の役に立ちます。
私には大きな家具工場をいくつも経営する友人がいますが、彼には意識的な世界と調和の取れたビジネスを確立したいというヴイジョンがありました。 彼は5つの工場を立てて、屋上に5つのオーガニック・ガーデンを持ち、従業員は誰がいちばん美味しい野菜を作れるかと競争しているそうです。 地域の農家と協力しバイオ燃料を使い、あらゆる面でエコロジカルな方法で事業を行っています。 ですから、彼のもとで働いている人はみんな幸せを感じているそうです。 このように意識の変容が事業を成功に導き、人々に幸せをもたらすことは可能です。
今丼 ビジネス上の成功というと、多くの人は表層的な豊かさをイメージするように思います。
ラハシャ そうですね。 ですから、多くの財産を手にしていながら幸せを感じられないと感じているビジネス・パーソンは、逆に、意識的であることによってもたられる価値があるということをより強く実感するかもしれません。 今、この瞬間に豊かさや幸せを感じられることが大切です。 「いつか来る」と待つことによって幸せを先延ばしにするのではなく。
『リビング・エナジー』Vol.7(p85-86)
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なるほど。
「多くの財産を手にしていながら幸せを感じられないと感じているビジネス・パーソンは、逆に、意識的であることによってもたられる価値があるということをより強く実感するかもしれません。」
幸福を求めるかぎり、そしてその求める人がいるかぎり、スピリチュアルな世界とその探求がつづくということでしょうね。
pari 記
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