バイオダイナミック農業へのいざない

バイオダイナミック農業へのいざない  

 
                  ケイト・アスペイ

       
オーラソーマ製品の原材料が生産されているイギリスのシャイアファーム農場では、「バイオダイナミック農法」というかなり特殊な農法が採用されていることはご存知のかたも多いでしょう。



これは理論の創設者の名にちなんでシュタイナー農法とも言われますが、“「牛の角」に肥料を詰める”というような変わった農法としても知られてもいるようです。

このかなり変わった方法が言及されるのは一種の冗談なのか、それとも何か本質的なことなのかと思って、例によってちょっとググってみました。

どうやら「バイオダイナミック農法」はホメオパシーと関連が深いらしく、ホメオパシーでは499番までの調合剤が定義されているのに対して、シュタイナーはその延長として、「500番から508番の9種類の調合剤(プレパラート)を考案した」のだそうです。

「調合剤の利用は、あくまで「力」の伝播であって、「物質」の投入ではなく、これは人智学のすべての分野に共通する決定的な点である」と早稲田大学教授の子安美知子氏は述べているそうです。

たしかに、500から508までの調合剤のうち、

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番号    調合剤            使い方            目的
500   雌牛の糞    
     雌牛の角に糞を詰て土の中に冬につくり、
     雨水で希釈し散布                根の強化
501   水晶(長石・石英)の粉
    砕いて雌の牛角に詰めて6ヶ月土中に埋め希釈し散布    葉に光を集める
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の2種類の調合剤は“「雌牛の角」に詰める”と書いてあります。

その理由というのもちゃんと説明されています。

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牛の角は、その中に詰めた材料にフォースを受け取り、濃縮する特別な力があるとされる。たくさんの胃袋を持つ牛は強力な消化力を持つが、そのエネルギーは角に阻害され体外に抜けることができず、角にエネルギーが集中しており、また角には宇宙のエネルギーを漏斗のように集める効果があるのだという。冬の地中では精神の世界とつながりあう生命活動が活発に行われるため、角に糞を詰めて冬に地中に埋めておくと、冬の間の高次の生命が角を通して牛糞に注がれる。

『ウィキペディア』バイオダイナミック農法
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目に見えない宇宙的エネルギーとのつながりを重視した、このような農法もあるんですねぇ。

いつの間にか時代は変わって、食べ物もスキンケア製品もますますオーガニックなものに向かうようですが、このような「バイオダイナミック農法」はその方向の最先端の一翼を担う中核的技術になっていくのかもしれませんね。

ケイト・アスペイさんという方は、たぶん最初期のシャイアファームの作業員として応募して参加された方のひとりではないでしょうか。

「伝統的な農業や有機栽培を学んでいた」方だそうで、その当時は有機農法はとてもいいものだろうが、「実際的ではないと思って」いたそうです。

ところが、その彼女がオーラソーマ・ムーブメントに参加したことで一足飛びに「バイオダイナミック農法」に飛び込むことになります。

しかも「バイオダイナミック農法」はとても説得力があったみたいですよ。

では、ケイト・アスペイさんの記事「バイオダイナミック農業へのいざない」から、そのあたりの雰囲気を感じてください。

       
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今年3月にオーラソーマ・ファミリーに加わってから、想像をはるかに越えて、私のものの考え方に変化が起こりました。
私はここでいったい何をするのかまったく分からない状態で、面接にやってきたのです。
マルコム氏にバイオダイナミックやデメテル基準についてどんなことを知っているかと聞かれたときには、何のことかさっぱり分からず、本当に困りました。

伝統的な農業や有機栽培を学んでいた私は、有機農法はとてもいいものだけれど、実際的ではないと思っていました。
けれども、有機農法よりもっと進んだ、宇宙までも考えに入れた、もっと別の農法や園芸というものがあると知って、本当に私の理解を越えるものだという気がしました。
けれども、これは私にとって、諺にあるように牛の角をつかんで牛を取り押さえるかのような果敢なチャレンジだという気もして、これが私には必要なことなのだろうと心に決めたのです。

私のパートナーであるケイト・ウリーと共に、バイオダイナミックの父であるルドルフ・シュタイナーの理論を解説している適当な文献を、なんとか読み終えました。

そして牛の角に肥やしを詰める(調剤500)という考えに笑い転げていた段階から徐々に、1920年代にすでに農業の未来を見通していたシュタイナーの深い洞察力に対し、実際の理解と尊敬を持つ段階へと進歩していったのです。

情報収集のため、バイオダイナミック農園で開催されたログボローでの肥料ワークショップに参加してみました。


魅力的な講義と素敵な食事で心は落ち着き、おなかは一杯。
そこで私たちはうやうやしく、適当な調剤と肥料を山と買ったのでした。
けれども私たちはまだまだ知りたいと思っていたのです。

そして7月がやってきて、必然的にケイトと私は、デビット・ストアーと共に、シュタイナー・アダルト・トレーニングセンターでもあるエマーソン・カレッジで、バイオダイナミック農業に関する集会に参加することになり、最もすばらしい週を過ごしたのでした。
そこで私たちは、シュタイナーのレクチャーに基づくすべての理解や理論に心を開いたのです。
他の人の意見に耳を傾けたり、農園や庭園を訪れて実践的側面を目のあたりにしたことで、たくさんのことが明らかになり、それまでの疑問は完全に払拭されたのでした。

だからこそ私は今、ここ数か月の間に変化を遂げた人間として、ここに居るのです!
将来はどうなるのかって? 


ケイトと私は、ハーブ園を完全なバイオダイナミックの農園にするために、調剤をまいたり、肥料を作ったり、雑草と格闘したり、根付けをしたりと奮闘しています。
私は人々がもっと現状の食物の質に不満を覚えるようになり、より意識をもって作物を生み出すプロセスに関心を寄せるようになるにつれ、私たちは将来の農業の先駆けになっていくだろうと感じています。
ここでシュタイナーの一節を引用します。

「人は不健康な土地からなる食物を摂り続けるかぎり、魂が肉体という牢獄から自由になるためのスタミナを得ることはできないだろう」

『リビング・エナジー』創刊号(p41)
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【不健康な土地からなる食物を摂り続けるかぎり、魂が肉体という 牢獄から自由になるためのスタミナを得ることはできないだろう】

なにやら、予言的ですね。

pari 記





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