鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【若竹色】わかたけいろ≫

実は今、自分で掘った筍(たけのこ)をあく抜きしながら、この原稿を書いています。

米ぬかと唐辛子を一緒に入れた鍋から、ぐつぐつと沸騰する音が聞こえてきます。
このまま30~40分程度茹でるのです。

下茹でが終わったらなんの料理を作ろうか、と心が躍ります。

私は今日、人生初の「筍掘り」を体験してきました。



筍の生育には、表と裏があるそうです。

もしかしたら、どの植物もそうなのかもしれませんが、たくさん育つ年と、そうでもない年が交互にくるそうです。

今年は成長が早いうえに、たくさんの筍が出る「表」の年。

「たくさん出ているので、よかったら採りに来ませんか?」と、竹林を持つ旧家に住む方からのお誘いを受けて行ってきました。

地面からまさに「竹の子ども」という感じで、ちょこちょこと頭を出しています。

落ち葉が敷きつめられた柔らかい地面は、まるでふかふかのベッドのよう。

そこから目を覚ました筍たちが起きだしてきたのです。



なかにはすでに背高く伸びた子もいます。
それはあとで伐採するとのことです。

そのままにしておくと1年で暗い竹藪になってしまうほど生育が速く、地面に日が差し込む明るい状態の竹林を維持するのは、ほんとうに大変なことなのだそうです。

「筍」という字は、一旬(いちじゅん・10日のこと)で、竹に成長するという意味を表します。

それくらい竹の成長は速いのです。

今日は昨晩から降っていた雨が小止みになり、タイミング良くお昼前に竹林に入ることができました。

雨雲が去って空は明るくなりはじめ、ときおり陽が差しこんでくる竹林の景色はほんとうに美しくて、これまで本や色見本で見ていた「若竹色」を、実物のものとして見ることができました。


爽やかな緑色。

みずみずしくもあり、凛とした堅さを感じさせる色でもあります。

若竹の幹は、やがて茶色の皮を一枚一枚脱ぎ捨てるように、まっすぐ上に伸びていきます。

みずみずしい若竹の幹には、規則正しく等間隔の節が作られています。

筍を下茹でするため、縦に半分に切ったとき現れる梯子のような「段々」・・・これが一つひとつの節になるのです。



当たり前と言ってしまえばそれまでですが、筍のうちからもう、この形になる準備ができている・・・なんて健気なことでしょう。

なんだか、若いうちからまじめで一本気な性格の子を見るような気持ちになります。

若竹に成長するはずだった筍を、私たちが料理して食べることは、まさに「命」をいただいているのだ・・・そんな気持ちになった人生初の「筍掘り」でした。

若干の筋肉痛も感じながら、新鮮なうちに美味しくいただきます。

鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

色見本参考:

https://www.colordic.org/colorsample/2110.html





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