自分のしていることを、どのようにするのか
「ティーチャーズアップデート」より マイク・ブース
アイデンティティーという言葉をご存知ですよね。
簡単に言えば、自分がなんであるかの自覚のことです。
こう聞いても、なんのことを言っているのか、私たち日本人の誰もがピンとくるわけではありません。
この言葉がいまだにカタカナ英語で語られることが多いことを考えれば、もともと大和言葉の語彙にはこれに当たる言葉がなかったのでしょうね。
日本人は、もともと感情や雰囲気で周囲と和すること、つまりまわりと調和すること、同調することをもって生き方の指針にしてきたわけですから、「あなたのアイデンティティーはなんですか?」と改めて聞かれたりすると、困ってしまうところがあります。(^^;)
お互いの考え方や主張に違いがあっても、その違いに焦点をあわせるのではなく、むしろお互いに共通する関心、相互に同意できる側面に注目することで、日本人は人間関係での無用な摩擦を避けようとしてきたわけです。
ところが長くそういう生き方をしていると、自分の考え方や主張そのものがよくわからなくなってくる側面もあります。
島国日本のなかだけであれば、そういう生き方も可能でしたが、それとは極端に違う文化で育った人たちと交流することになると、それだけでは難しい側面もあるのでしょうね。
最近では、中学校の道徳の時間に、「アイデンティティー」という言葉を教わるのだそうです。
使われる文脈によって、識別とか、同定とか、自己同一化とか訳されることもあるアイデンティティーですが、日本語の文脈にはなかなか入りにくい言葉ですよね。
これまで永く違いを抑えるという生き方できたのが、これからは違いを主張するという生き方が必要になってきたということなのでしょうか。
アイデンティティーという言葉は、違いを主張する文化のなかで、自分のほんとうの違い、自分を他の人間から識別するいちばんの違いを自覚する必要から、哲学的に深まってきた觀念なのかもしれませんね。
大人を識別する大きな括りは職業だろうと思います。
でも、「ご職業はなんですか?」と聞かれれば、自分の生業の職業を言えばいいわけですが、「あなたのアイデンティティーは?」と聞かれると、たんに職業で答えるというわけにはいかなくなるのかもしれません。
たとえば「私は教師です」と答えても、教師はたくさんいるわけですから、それは分類を言っただけで、アイデンティティーを語ってはいないようでもあります。(^^;)
マイク・ブース氏が触れている“アイデンティティー”は、そのあたりの機微に触れているようです。
では「ティーチャーズアップデート」から、マイクが新しい時代のアイデンティティーの考え方の端緒に触れた言葉をご紹介しましょう。
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ゴールドへ光をもたらすことは、自分自身のなかにある智慧の源に、内なるティーチャーに、真のオーラに、私たちがなぜここにいて、その真の目的がなんであり、「自分のしていることを、どのようにするのか」といったことに注意を与えることと同義語なのです。
「自分のしていることを、どのようにするのか」ということは、自分のアイデンティティーを、自分のしていることから、自分がなにをしていようとそれに質をもたらすことにシフトすることと同じアイデアです。
質問「お仕事はなんですか?」
答え「私はオーラソーマティーチャーです」
私たちはこの質問に対して、もっと深みと誠実さを持って、素直に答えられるでしょうか。
「私は光の身体について分かちあっています」
光の身体を形成することが、なにを意味しているのかを理解することは、自分がなにをしているのかという自己同一化をやめることです。
私たちの注意は「自分のしていることを、どのようにするのか」に向けられます。
世間において「ところで、あなたのお仕事はなんですか?」という質問に対して、「私は思いやりと暖かさをもたらそうとしています。気づきと安らぎを、自分のしていることにもたらそうとしています」と、答えることができるでしょう。
これは、世間ではどの程度受け入れられるでしょうか。
「私は医者です」あるいは「私は精神科医です」「私はこれです、あれです」というアイデンディティに包まれている人に、これがどのくらい伝わるでしょうか。
もし人類が、自己同一化について自分がしていることに自己同一化することから、「自分のしていることを、どのようにするか」に向けて変化をはじめたら、それは革命的なステップになるでしょう。
『リビング・エナジー』Vol.6(p135)
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【もし人類が、自己同一化について自分がしていることに自己同一化することから、「自分のしていることを、どのようにするか」に向けて変化をはじめたら】
遠い話のようでもあり、変化は一瞬で起こるようでもあり。(*^_^*)
先のことはわかりませんね。
pari 記