色彩心理の図式「カラーローズ」:コーラルの心理
「オーラソーマ」の「カラーローズ」をちょっと部外者的な立場から眺めて、自由な連想を試みる随想シリーズです。^^;
オーラソーマのカラーローズを“全人間心理のカラーインデックス”に見立てて、その内部的なダイナミクスを連想して楽しんでいます。
ちょっと理屈っぽいですが、常識だけでお付き合いいただければ、案外、面白がっていただけるかもしれません。
さて、これまで「三原色」(ブルー、イエロー、レッド)と「二次色」(グリーン、ヴァイオレット、オレンジ)の計6色の心理を眺めてきました。
それは言ってみれば、それまでの深い微睡みから目覚めて、ふと自分が存在していることに気づいてしまった意識が、「あれ、自分はいったい誰だったっけ?」といぶかり、一瞬自分を現れとして確認したくなった瞬間の心の動きを追ったとも言えるでしょう。
言い方を換えれば、それは物理学の世界で「ビッグバン」と言われる現象の背後で、原因の世界に起こっていたことを、精神世界の超スローモーションカメラで撮影したようなものかもしれません。(^_-)
とにかくここまでで、現象世界を実現する基盤の「三原色」の誕生と、そこで生まれた衝撃を最初に受け止めた第一波の余波である「二次色」の誕生を、人間心理のダイナミズムに見立てて楽しんだのでした。
すべては存在する意識の【現れを願った意図】から誕生したことでした。
顕現世界の構造という意味では、建築物の喩えを使うなら、「三原色」は現象世界という構築物のいわば【土台】、「二次色」はその【土台】の上に立てられた【柱】にも当たるかもしれません。
これで【土台】と【柱】は調ったので、人間心理の全構造である顕現世界は、その輪郭をすべて現したことになります。
しかし、そこで個々の人間(や生命体)が“住まう”には、ちょっとまだ何か足りない感じですよね。
まさか、【土台】と【柱】だけの家にも住めません。^^;
やっぱり、全人間心理を配置する構造物としては、もう少し、どんな人間心理も落ち着いて居所を定められるスペースが必要です。
【土台】の上にのった【柱】と【柱】の間を埋める【壁】がないとやっぱり、住みにくいと思います。^^;
というわけで、これから見ていくのは、【柱】と【柱】の間を埋める【壁】にも当たる「三次色」の心理です。
「三原色」と「二次色」の合わせて6色の誕生を、全人間心理の誕生の衝撃に喩えることができるとすれば、その間を埋める6色の「三次色」は、その衝撃を収束するための人間心理の展開にも喩えられるかもしれません。
さて、すでに見た6色と、これから見ていこうとしている「三次色」のいちばん大きな違いは、「三次色」は先輩の6色が作り上げた顕現世界を既定の事実として受け入れたところから出発しているということです。
もうそこには、成るか成らぬかわからぬ顕現世界の創造に、自ら参加しているという不安や緊張はありません。
「三次色」はすでに存在している顕現世界の枠組みの中から、その世界を完成させることを自らの役割として出発しています。
さて、「三次色」展開の物語をどこから始めましょうか?
やっぱり、物理次元を創造した衝撃波を受け止め、その衝撃を収束方向に向けていく流れですから、最もグラウンディング傾向の高い所から始まったでしょうね。
最初の「三次色」は、顕現世界で“永遠の生命”を願った「レッド」と“創造の賛歌”で顕現世界を安定させた「オレンジ」の間に兆したのではないか。
なにしろ、
「永遠に、わたしは生きる」
という“永遠の生命”への強烈なメッセージを放った「レッド」の意志と
「みんなで、もっと創造を楽しもう!」
と顕現世界の存在の“大儀”を打ち出した「オレンジ」のあたりが、人間心理のパノラマ「カラーローズ」でも、ひときわグラウンディング傾向の高い一隅でしょう。
そのあたりこそが、顕現世界の心理パノラマ「カラーローズ」のなかでも、いわば“体制派”が住まうべきところだと思います。(^_-)
新たな心理の芽吹きは、いわば権力者の深窓の令嬢のまっすぐな願いのなかから生まれたかもしれません。^^;
(「レッド」を『ゴッドファーザー』に喩えたいわけじゃありませんからね、お間違えのないように。(*^_^*))
いわば顕現世界の“礎”を築いた第一の功労者とも言える「レッド」の光線と、“創造の讃歌”を謳い上げ、現象世界への帰属意識の最も高い「オレンジ」の光線が交わるあたりに浮かび上がってきたのが「コーラル」の光線です。
「コーラル」の光線は、顕現世界の正当性と、創造の喜びの波動をふんだんに浴びて育ってきたに違いありません。
言いようによっては「コーラル」は、「レッド」の光線と「オレンジ」の光線を両親とする正嫡子とも言えるわけです。
顕現世界の正しさ、誇らしさ、創造の美しさ、高貴さ、喜び、そしてその永遠の繁栄を、一瞬たりとも疑ったことはないでしょう。
顕現世界の繁栄を一瞬も疑わないその彼女が、両親が支える世界に貢献したいと望んだとしたら、そのメッセージはどのようなものでしょうか?
この顕現世界の正当性と大儀を信じ、その偉業の永遠の繁栄を維持するために、新たな参加者のための万全の環境作りに貢献したいと願うかもしれません。
「レッド」と「オレンジ」の間に兆したその「コーラル」の願いを、
「大丈夫、私が護っているから」
という言葉で代表させてみることにしましょう。
「コーラル」が母なる“生命の海”を護る珊瑚の色、新たな子どもを育む子宮の色であることは誰もが知っています。
「コーラル」は人知れず命を育み、生成するものを影ながら真心を込めて守り育てようとするエネルギーです。
「コーラル」はけっして、自ら目立つことを願うエネルギーではありません。
何か華々しい立派なことをして、スポットライトを浴びようとするエネルギーではありません。
そうではなく、そのようなエネルギーを批判することなく受け入れ、その志を遂げさせてあげるために真心を込めて守り育てようとするエネルギーです。
「レッド」が血の色、“父性”の色であるとするなら、その隣の「コーラル」は子宮の色、まさに受け入れ育もうとする“母性”の色です。
だから、自ら真心を込めて養育した者が、功成り名を遂げたとき、心からそれを喜ぶエネルギーなのです。
しかし……、それだけに……、その自らの寄与・貢献が、あまりにも無視されたとき、秘かに傷つくエネルギーでもあります。
「コーラル」がオーラソーマで、“無償の愛”とか、また“報われぬ愛”と呼ばれることがあるのはそのためだと思います。
「コーラル」が人間心理の位置として、あまりにも与えることのみに傾いているため、その寄与が認められないとき、悲しみ傷つくのです。
そして、そのことによって、それが完全な無色透明の光ではなく、顕現の世界の一翼を担う人間心理でもあることを明かしているわけです。
つまり“母性”の色である「コーラル」は、認められて喜び、無視されて悲しむことによって、人間心理の万華鏡に参加しているわけです。
「大丈夫、私が護っているから」
と……。
「コーラル」は原色「レッド」と二次色「オレンジ」からの三次色であるため、「カラーローズ」では7時の位置に“ヴェシカ・パイシス”で造形されます。
全体への視界
独存の平和
(ブルー)
生存への違和 → 見晴しへの願望
生超越への希求 ← 調和と協調
(ヴァイオレット) (グリーン)
・
生命への熱情 → 個別への意志
生欲望と安定 ← 自尊と不安
(レッド) (イエロー)
無償の愛
報われぬ愛
(コーラル) 創造への賛歌
帰属と献身
(オレンジ)
……。
また機会があったら、このあとどんなダイナミクスで三次色が生まれ、それらがどのような人間心理を代表するのか、そんな連想を楽しませていただくかもしれません。
いつもお断りしているとおり、これは「オーラソーマ」で認定された見解ではなく、「オーラソーマ」がゲーテの色彩論から引き継いだ「カラーローズ」という素晴らしいツールに触発された、まったく自由な立場からの連想です。
お付き合いいただき、ありがとうございました。<(_ _)>
pari 記(初出『オーラソーマ通信』の記事から編集)