父からの贈り物
「オーラソーマとは何か?」から マイク・ブース
人生の大枠を作ってくれるもの、幼児のわたしたちがこの世の形として一番信じたものは、実際はその時代その社会の大人たちの“思い込み”のことなんですよね。
誕生する子供たちが身にまとう肉体はじつは途方もない能力を持っていて、どんな時代のどんな地域の人間にもやすやすとなることができます。
一言で言えば、肉体とはわたしたちの“思い込み”を実現するための、途方もない能力を秘めたバイオコンピュータとも言えるかもしれません。
わたしたちはむろん、今自分たちが生きている時代の自分たちが住んでいる社会の通念が当然のものだと信じます。
でも、この常識は、同じ時代であっても、ちょっと地域が変わるだけで、すっかり変わってしまうことは、今では誰もが知るようになりました。
これが別の時代の社会通念となると、もう驚くほど変わってしまうのは当然ですよね。
オーラソーマの創始者ヴィッキーさん(Vicky Wall, 1918-1991年)が生まれたのはわずか100年前のイギリスでしたが、それでも彼女が育った家庭の常識は、同じイギリス人のマイク・ブース氏でも違和感を感じるものだったようです。
継母のいじめに耐えかねて十代で家出をしたヴィッキーさんは、父親の厳格な宗教信条のもと、それ以後家族からは死んだものと見なされていたのだとか。
でも、ヴィッキーさんはそのカバラの行者であった父親とその世界観をこの上もなく尊敬し愛していたんですね。
ヴィッキーさんがバランスボトルを誕生させたのは、そのお父さんが亡くなってから間もなくのことだったそうです。
そのあたりの事情をマイク・ブースが語っています。
—————————————————————— 「オーラソーマとは何か?」という問いにもっと十分に答えるためには、どのようにオーラソーマが生まれたかを知ることが必要です。 というのも、それによって私たちはヴィッキー・ウォールが瞑想と祈りの中で最初のバランスボトルを受け取った時に述べたことがより十分に理解されると思うからです。 それは、あたかも、他の手が彼女の手を動かしたかのような、彼女を通してある知識が自分を表そうとするかのようなプロセスでした。
バランス(イクイリブリアム)が生まれる7年前、すでにヴィッキーは盲人登録をしていたというのは、最も驚きに値することでしょう。 彼女の父であるアブラハム・バーンはハシディズム(ユダヤ教の秘教的な教えを説く一派)の信者で、カバラの行者でもありました。 ヴィッキーは、それは深く彼を愛し、双方を等しく尊敬していましたから、実際両者を区別するのは難しかったのです。
継母から執拗ないじめにあい、10代の初めに家を出たヴィッキーは、その後、異教徒の一家と暮らし始めるまで、その日の暮しの生活を送りました。 彼女の父は厳格なハシディズムの信者だったため、家を出た彼女は死んだも同然とみなされたのでした。 これは今という時代からすれば信じられないようなことですが、ヴィッキー自ら私に語ったことです。
私の感じでは、この断絶によって彼女は心にひどい傷を負ったようです。 家族は父親が亡くなるまで、彼女と口をきこうともしませんでした。 偶然の一致かどうか、バランスが生まれたのは、父親が亡くなってからだったのです。
ヴィッキーはそれを父からの贈り物だと言っていました。 私がバランスボトルのシステムとワークすればするほど、カバラとのとてつもない関連が明らかになってくるようです。
それぞれのボトルは、生命の木の径やスフィアにフィットするのです。 もしかしたらこのシステムは、カバラのマスターであった父親が、娘からの真の愛を認め、彼岸から贈った贈り物であったかもしれません。 これは、バランスがどのようにこの世に生まれたかについての理解の一つにすぎません。
『リビング・エナジー』Vol.1(p28) ——————————————————————–
【ヴィッキーはそれを父からの贈り物だと言っていました】。
【それぞれのボトルは、生命の木の径やスフィアにフィットする】……。
ヴィッキーさんがバランスボトルが古代からの智慧の復興であることを疑わなかった気持ちもわかるような気がしますね。
pari 記