二通の手紙
『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』:「6 王の身代金」から ヴィッキー・ウォール
人生、山あり谷あり。
「あなたがたの足の裏で踏む所は皆、あなたがたのものとなる」(申命記一一章二四節)という聖書の言葉のままに現地を訪れたヴィッキーさん。
敷地の回りを三度回って、いわば結界を敷いた結果かどうかはわかりませんが、奇跡的にも憧れの土地を手に入れることになりました。
住めるようにする増改築のためにしっかりとお金を貯める一方、大工さんと相談しながら夢を膨らませて、現地も毎週訪れていたんでしょうね。
ところが、ヴィッキーさんの場合が特にそうなのかもしれませんが、人生なかなか嬉しいことばかりはつづかないものです。
そんなある日、現地を訪れると郵便受けに二通の手紙が入っていました。
さて、その手紙はどんなことを告げていたのか。
——————————————————————– ミッセンデンでの仕事は拡大していき、仕事の合間にも、私を待っている愛しのコテージの夢にひたったものです。 クリニックが終わると、夜にはハーブを植えたり、そうしたハーブや土地に住む野生の動物たちと話をしたりしに出掛けました。 先ほど登場したフィリスが、そのがっしりした体で、ありとあらゆる種類の球根を辺り一面に植えてくれたので、庭はまるでミニチュアのオランダのよう、さらには、小さな池までつくり、そこに橋を掛けたりもしました。 落ちてもいいと覚悟した人だけが渡れる、なんとも危ない橋でしたが。
ある日のこと、放ったらかしのそのコテージに足を踏み入れると、二通の手紙が目に入りました。 両方とも差出人は地方議会になっています。 建築会社を通して、私は建築許可を申請していました。 以前の差し掛け小屋をガレージに改築することと、その他細かい増築についてです。 許可が下りたのかしら、と私は急いで一通目の手紙を開けてみました。 多分二通目は地方税の通知か何かに違いありません。 許可は下り、私の夢が現実になるのもいよいよ時間の問題となりました。 二百ポンドはぬくぬくと銀行に眠り、あとは建築会社に電話して着工を待つばかりです。
私の目は、それから二通目の手紙に移りました。 どんな税金を払う必要があるのかしら、今のうちに見ておきましょう、と気軽な気持ちで封を切った私の手が、凍りつきました。 書類の一番上には、こうあったのです。
「取り壊し命令」
私は、もう一度封筒の宛名を見返しました。 それが、私宛てであるはずがありません。 けれども、「テディントン」コテージと私の名前が、そこにははっきりと記されていました。 なんといっても気違いじみた話、それとも、狂っているのは私の方でしょうか。 同じポストに、同じ議会からの、建築許可と取り壊し命令が、同時に入っているなんて!
ほとんど宙を飛ぶようにして、ミッセンデンへととって返し、電話をかけてみると、議会はとんでもない情報を私に伝えました。 その取り壊し命令は、私が土地を購入した二十五年も前から存在し、議会はつい最近道路建設のために、その執行を取り決めた、というのです。 私は半狂乱になって、議会の倫理に通じている、評判の高い年配の弁護士に連絡を取ることにしました。 けれども彼は不在だったので、最近資格を得た若い同僚に約束を取りつけました。 彼の話は、明るいものではなく、目の前の真面目そうな顔には、同情と悲しみの色がありありと見て取れました。 チャーミングな若者で、誠実さが全身からあふれています。
「無理でしょうね」
彼の答えも、他の大方の人たちと同じでした。
「議会と争うなんて、不可能です。もし、取り壊し命令があるのなら、完璧に執行の権利がありますからね」
『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』(p51-53) ——————————————————————–
うーむ。(-_-;)
厳しいですねぇ。
しかしそんなこともあるんですねぇ。
まったく、お役所仕事というものは……。
pari 記
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