ニューアース その6

ニュー・アース -意識が変わる 世界が変わる-/エックハルト・トール ¥2,310 Amazon.co.jp
「意識の鍵」であるオーラソーマを読み解くヒントとして、シリーズでお送りしています。
前回は、第二章「エゴという間違ったメカニズム」についてでした。 それはエゴは「本来の自己」、そして「自分は誰か」ということがわからないがために、エゴ本来の自己である「大いなる存在」の代わりに、その代用品を求めてそれに同一化しようとする、というメカニズムについてでした。
つまり、エゴが生まれる最も基本的な精神構造のひとつとして、このアイデンティフィケーション(同一化する)ということがあります。 エゴが同一化する対象は、所有物や身体のように物や外部の形あるものだけではなく、感情や思考のように形になったエネルギーであったりもします。
したがって、エゴは自分が同一化していた形、自己意識を与えてくれていた形が崩壊したり奪い去られたりすると、エゴも崩壊する宿命にあります。
そこで、今回は第三章「エゴを乗り越えるために理解すべきこと」というところを見ていきます。
たいていの人は絶え間のない頭のなかの声や、それに付随する感情に自分を同一化しています。 頭の中の思考の主が自分だと思っています。
しかし、思考や感情はその瞬間瞬間に揺れ動き変わっていきます。 そこでエゴは「私」という思考を支えるために「他者」を必要とします。 しかも、その他者を敵とみなしたときに最も確かな「私」という感覚を感じることができます。 そこでエゴは他者を敵とするために、他者を批判したり、非難したりします。 自分が正しいということを証明しようとすることで、自分(エゴ)の存在をより確かなものにしようとします。
そしてまた、エゴは自分自身を強化するため、不満、恨み、怨恨、怒り、苛立ち、むかつく、というような拒絶反応を持ったりします。 そうすることでエゴは自己を主張し、自己意識を強化することができるからです。 なぜなら、これらの拒絶反応の根底には自分が正しく相手が間違っているという前提があり、自分が正しいという思いが最もエゴを強化するものだからです。
では、どのようにこれらのエゴを乗り越えればよいのでしょうか?
それは「それらのエゴの声に気づくことができるかどうかだ」とエックハルトは言います。
「何かに不満を持ったとき、頭の声を把握できるかどうか、つまり、その正体に気づけるかどうか。 その声に気づけば、同時に自分はその声とは違うこと、その声に気づいているのが自分であることがわ
かるだろう」

つまり、エゴが発する「不満」の声に気づくことができれば、気づいているあなたはエゴではありません。エゴに気づいているのはエゴとは別の意識、「気づき」の意識なのです。
自分のなかの不満の声、つまりエゴに気づいたとき、その不満の声というのは単に「古い条件付けられた心のパターン」にすぎないのです。 エゴとは、そのことに気づいていない無意識の状態なのです。
「気づきとエゴは共存できない」のです。
エックハルトはいいます。
「結局のところ、大切なのは次のことだけだ。 人生という背景のなかで、つねに「大いなる存在」という自分の本質「私は在る(I AM)」ということを感じていられるか? 意識そのものとしての自分のアイデンティティ、その本質を感じられるか? それとも起こっている出来事や心のなか、この世界で自分を見失うのか?」
これらのことをオーラソーマの意識の鍵で見るとどうなるでしょう?
オーラソーマの色の言語で考えると、エゴはイエローの意識、「自己の意思」です。 小さな自我です。 そして「大いなる存在」というのはブルーの意識「汝の意思」です。
ハートのグリーンは、イエローとブルーの中間にあり、その両方を含み、そのハートのスペースでは両方に気づいていることができます。
イエローの意識だけだと、エゴが自分だ、と思ってしまいます。 エゴのなかに本来の自己を見失った状態になってしまいます。
しかし、グリーンのハートのスペースを思い出すことで、自分はブルーの意識、大いなる存在とともにあるということに気づいていることができます。
そして本来の自己とは、ブルーの意識、大いなる意識、気づきの意識そのものだと知ることになるのです。
「エゴを乗り越えるために理解すべきこと」とは、オーラソーマの色の言語から見ると、普段の日常生活のなかにあるときにもイエローの意識だけではなく、ブルーの意識、大いなる存在とともにあるということを思い出すこと、と言えそうです。
そのためにはグリーンのハートのスペースが鍵になるでしょう。
尚 記
     
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