鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【向日葵色】ひまわりいろ≫
その輝く太陽のような姿から英語名では「Sunflower」と名づけられました。
オーラソーマには「B4 Sunlight」のボトルがありますが、まさに、ひまわりを思わせるネーミングと色彩です。
http://aura-soma.co.jp/products/equi/B004.html
ひまわりの原産は北米で、日本には江戸の中期に中国を経由して入ってきたそうです。
向日性のため、花が太陽の方に向いて咲くことからついた名で、「向日葵」の文字をあてました。
でも、実際に太陽を追いかけて向きを変えるのは、まだ茎が柔らかく重さもないつぼみの時期だけなのだそうです。
「向日葵の ゆさりともせぬ 重たさよ」
北原白秋の詠んだ句です。
ひまわりは、大きな花の中心にぎっしりと種をつけます。
種は食用になり、絞ったら良質の食用油にもなり、観賞用だけでなく実用的な花なのです。
ボトルのナンバー「4」のグラウンディングした(地に足をつけた)感じとつながります。
ひまわりで思いだすものはいくつもあります。
有名なのは、オランダ生まれの画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの一連の作品です。
「ひまわり」は何点もの作品がありましたが、ほとんどが花瓶に生けて室内に飾られた似たような構図でした。
ゴッホは何を求め、何度も同じような作品を生みだしたのでしょう。
そのころ、南仏でゴーギャンとの共同生活が続くことを夢見ていますが、精神の不安定さから自分の耳を切る大事件を起こし、その夢はついえてしまいます。
オランダ生まれのゴッホにとって、ひまわりの絵で用いた明るいイエローは、南仏の太陽のような希望の光であり、ユートピアの象徴であったのかもしれません。
もうひとつ思いだすのは、1970年に公開されたイタリア映画「ひまわり」です。
ヒロインはソフィア・ローレン。
第二次世界大戦が終わり、出征先のロシアで行方不明になった夫を探して、言葉も通じないロシアの地を訪ね歩きます。
映画のラストで、地平線まで続く広大なひまわり畑に、ひとりたたずむシーンが印象的です。
これは実際、ロシアで撮影されたといいます。
ちょっと意外ですが、ひまわりはロシアの国花であり、食用ひまわりの生産量はロシアが世界一なのだそうです。
この主人公は洋裁で生計を立てており、自立的で強さを秘めた女性として描かれている気がします。
やがて、彼女は夫の消息を探しあてるのですが、彼はすでに別の家庭を持ち、ささやかでも幸せに暮らしていました。
二度と結ばれることのないふたり。
悲しい結末ですが、そこから強く生きるであろう彼女の人生を象徴しているのが一面に咲くひまわりです。
日本の色名としては比較的新しい部類の「向日葵色」ですが、この花のように力強く生きること、地に足をつけて、ぎっしりと実をみのらせることを選んでもいいのよと言われている気がします。
広い土地にひまわりを植えて、夏のイベントに採用している町をよく目にします。
この夏は、一面のひまわりに囲まれる体験をしてみるのもいいかもしれません。
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール 有限会社「カラーズガーデン」代表。 英国オーラソーマ社公認ティーチャー。 栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。 中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。 2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。 2006年より公認ティーチャーとして活動中。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考: http://www.colordic.org/colorsample/2168.html
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