「いったいどうやって時間までに入札できるっていうの」

「事実は小説よりも奇なり」という言葉があります。

小説は確かに、ありえないような偶然の一致を物語の展開のなかに密かに忍び込ませることがあります。

登場人物たちの出会いや偶然の再会のタイミングなど、たとえば、大都会での出来事として考えれば、それはちょっと確率論的にありえないのでは、と思われるような場合もあるでしょう。

しかしそれで物語が自然に流れるのであれば、読者はそんなことに文句は言わないものです。

その一方で、それとわかるあまりにも極端なタイミングの一致などは、小説のプロットとしては目立ちすぎるので、ストーリー上のよほどの必然性がなければ無理に盛り込んだりはしないものです。

その意味では実際に起った偶然の一致には、「事実は小説よりも奇なり」と言えるものがたくさんあるのかもしれません。

少なくとも今回ヴィッキーさんたちに起こった「空から降ってきた」話などは、あまりにできすぎていて、小説家は物語に取り込むのを遠慮するでしょう。


マーガレットが、その手紙を読み上げると、それは驚いたことに、誰も応募してもいないのにやってきた、広大なリンカーンシャーの土地の売買の書類でした。
高原にある、まるでおとぎの国に出てくるようなテットフォードの村の牧師館と、その二エーカーの土地についての話です。

そして、私たちがますます盛り上がったことに、その入札の期限は、なんとその日の正午だったのです! 
マーガレットに頼んでさっそく電話で問い合わせてもらうと、その地所は、打ち捨てられ荒れ果てて、この十年空き家になっているということでした。
また、教会の土地ということで、条件のひとつとして抵当権がついていないとのことです。
すべてがありえないような話、けれども、この手紙が「空から降ってきた」からには、何らかの意味があるはずです。

私はルーフガーデンに出て、瞑想に入りました。
そして答えを得て、部屋に戻るなり、言いました。

「私たちのものになるわ」

時計の針はすでに、11時を指しています。


「いったいどうやって時間までに入札できるっていうの」と、マーガレット。

「天の助けよ」と私は言い、笑いました。

「電話で入札ができるか、聞いてみて。
 書類はあとで速達で送るからって」

そして、見事OKが出ましたが、次の問題がありました。

いくらで入札するかです。
私はまた導きを求め、ある金額がひらめきました。

そして私たちは入札し、うれしいことに(また、ちょっとばかりうろたえもしたのですが!)その入札は受理されたのです。

『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』(p287-288)



【私たちがますます盛り上がったことに、その入札の期限は、なんとその日の正午だったのです!】

【時計の針はすでに、十一時を指しています】

小説家はわざわざこんな設定はしませんよね。(^_-)

pari 記

 

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