16歳の少女が、大人の女性のアパートに招き入れられ、そこで彼女と関係のある男性と話してくれと頼まれたというのですから、まあ、現実にはめったに起こるようなことではありません。(^^;)
しかし、ヴィッキーさんにはそれが起こったわけです。
明らかにその女性は、ヴィッキーさんに何か自分以上の能力を感じていて、この娘ならなんとかしてくれるかもしれないと思ったのでしょうね。
すると、実際に、その女性の言葉に応じて、ヴィッキーさんには何かのイメージがわき、自分でも思いがけない言葉を口走ってしまうことになるようです。
それがまた、相手の女性の信頼感をいやますことになり、彼女はヴィッキーさんにやっぱり状況を解決を手伝ってもらおうと思ったようです。
すると、その声が聞こえていたのか、突然、隣の部屋の扉が開いて、若い男性が姿を現します。
その部屋へと背を押しやられたヴィッキーさんは、急転直下、その部屋のなかでその男性と二人だけで話さなくてはならなくなる。
まるで映画の場面のようなテンポの速さですね。
「俺に何か言うことがあるか」
言うことがあったら、とっくに言ってる、と思いながらも、またもや私は、まるで自分のものとも思えない声を耳にしていました。
「あなたは、悪いことに関わっていますね。
それは、よくありません」
「何のことだ?」と、彼。
「お金です」
「金だって! 何の金だ?」
「悪いお金です」私は答えました。
「それも、たくさんの」
目の前に、五百ポンドが浮かび、私がそう言うと、彼は黙り込んでしまいました。
その声は、さらに続けて、
「あなたはそれを手に入れるけど、手には入らないわ」
その言葉のバカバカしさには、さすがに私も呆れました。
手に入れるけど、手に入らないですって。
何たるナンセンス!
いよいよ早く、この場を去った方がよさそうだ。
「他に言うことはあるか」
彼はもうすっかり青ざめ、声にも力がありません。
「ないわ」私は勇気を振り絞り、きっぱりと答えました。
「もうほんとうに帰らないと」
彼がいやいやドアを開けるが早いか、私はもう外に飛びだしていました。
そのアパートの雰囲気にはぞっとするようなところがあり、不調和と邪悪な気が満ち満ちているのを感じたからです。
私は急いで公園に戻ると、新鮮な空気を胸一杯吸い込み、穏やかさと安心感が戻ってくるのをひたすら待ちました。
このことがあってから、大人になるまでに、私は似たような体験をいくつもしました。
いつも私が望んでもいないのに、未来だけでなく、ときには過去のことをかいま見たり。
こうしたことは、毎日の出会いのなかで繰り返し起こり、それはどんどん増えていきましたが、人に話しはしませんでした。
それは、基本的に私のあずかり知らぬことであり、何か目的のあるときに、人を助けるためにだけ使われる能力なのですから。
私は決して人を楽しませるために、その力を使ったことはありません。
そして、それから一週間か二週間後のことです。
地方新聞に目を走らせていると、公園の休憩所から大量の煙草が盗まれたという記事がありました。(盗みは、私が例の女性とそのボーイフレンドに会った2日前に起こっていました)
その記事には続けて、犯人の男はその煙草を売りさばいている際に逮捕されたこと、5百ポンドが押収されたこと、そして、その男は6か月の懲役に処せられたことが書かれていました。
このようにして、私が言ったとおり、彼らの関係はちゃんと壊れたわけです。
『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』(p33-35)
ヴィッキーさんは、大人になるまでに、こんな体験を何度も経験なさっているんですねぇ。
毎日の出会いのなかでそんなことが繰り返し起こり、しかもどんどん増えていッタというのですから、これは通常人とはずいぶん違う体験をなさってきたのですね。
まさに、【事実は小説よりも奇なり】です。
pari 記