日本を代表する香辛料、山葵(わさび)
日本料理には欠かせないものです。
鼻にツンとくる独特な辛さが、和食の繊細な味を引き立てます。
ワサビは日本原産のアブラナ科の多年草で、根茎をすりおろして使います。
そのすりおろした時の色が「山葵色」です。
少し白っぽく柔らかな黄緑色が、お刺身の皿の隅に盛られていたりすると、見た目にも彩を添えてくれます。
漢字で「山葵」と書くのは、ゼニアオイの葉に形が似ていて、深い山の渓流などに自生するからだという説があります。
現在では野生のものは珍しく、主に長野県や静岡県の清流や涼しい畑で栽培されています。
冷たい水が流れる涼しい土地が生育に適しているのです。
ワサビの栽培は江戸時代から本格的に行われるようになりました。
静岡県有東木(うとうぎ)という場所がその発祥です。
現在の静岡市葵区。
有東木のワサビは、駿府城で政治を執り行っていた徳川家康公に献上した際に、絶賛されました。
徳川家の家紋「葵」に通じることもあり、江戸幕府の庇護を受けることになります。
同時に、江戸前の寿司の流行と蕎麦の普及によって、ワサビの需要は急速に高まっていきました。
ワサビが食文化として庶民に定着したのは、確かに江戸時代からですが、実はもっと古い時代から存在していました。
飛鳥時代の遺跡から出土した木簡に「委佐俾」(ワサビと読む)の文字が記されており、これがワサビに関する最古の史料だということです。
また奈良時代には、土地の名産品として上納し、主に薬用として使用されていたようです。
そして室町時代あたりから、現在のように料理の薬味として使われるようになっていきました。
ワサビの名前で比較的記憶に新しいのが、日本では2002年に、フランスでは2001年に公開された映画「WASABI」です。
新しいといっても、もう20年も前になるのですね。
リュック・ベッソンが、監督ではなくプロデューサーを務めたフランス映画。
名優ジャン・レノと、広末涼子が主演したことで話題を集めました。
タイトルを「WASABI」にした経緯が、なんともツッコミどころ満載ではありますが・・・詳しくは映画をご覧ください。
意外な描かれ方でワサビが出てきます。
それにしてもこの映画の広末さんがものすごく可愛い。
東京を舞台に、若い女の子に振りまわされる渋いジャン・レノ。
クールで魅力ある日本をイメージさせるものとして、ワサビが選ばれたのかな、なんて思います。
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/2125