色彩心理の図式「カラーローズ」:マジェンタの心理
「オーラソーマ」の「カラーローズ」をちょっと部外者的な立場から眺めて、自由な連想を試みる随想シリーズです。^^;
オーラソーマのカラーローズを“全人間心理のカラーインデックス”に見立てて、その内部的なダイナミクスを連想して楽しんでいます。
ちょっと理屈っぽいですが、常識だけでお付き合いいただければ、案外、面白がっていただけるかもしれません。
「カラーローズ」を人間心理の“元型”(または酵母の“種”)の誕生の物語として眺めてみています。
カラーローズは“色相環”として見れば、12方位(色)です。
http://www.aura-soma.co.jp/intro/color_language/
しかも、その12種類の“種”は厳密に相互関係を定義されていて、全体として「バランスの法則」のもとに統括されています。
個々人が発信する人間心理はある意味ではもちろん自由なのですが、しかし顕現世界が全体としてバランスを保たなければならないことを考えれば、自分が発信したものは早晩自ら受け取ることになることは想像されます。
物理次元の拘束がきつかったこれまでは、発信と受信のギャップを長く保つことが可能でしたが、その拘束が緩みつつあるこれからは、ますます発信と受信のギャップは小さくなるでしょうね。
そのような個々の人間心理の本来の意図、その元型を酵母の種のように展開したのが「カラーローズ」だったというわけです。
あらゆる人間が絢爛多彩な「固性」を競い合っているようでいながら、それは人間心理の“酵母の種”の組み合わせを演じていたんですね。
顕現世界とは、ある意味で、一瞬一瞬の“意図”が描き出す虹色の模様の変化を楽しむための映画なのもしれませんね。(^_-)
それにしても、なんという驚嘆すべきインデックスであることか……。
(*^_^*)
これまで展開した人間心理の「元型」を、再度、簡単に見ておきましょう。
12時:すべての創造世界を潜象として包含する“根源色”「ブルー」
4時:個別を意図して顕現世界(二元性)創造の端緒となった「イエロー」
8時:“永遠の変化”を起動して現象世界の創造を実現した「レッド」
2時:個別としてはじめて見晴らしと周囲との調和を求めた「グリーン」
10時:個別としての立場に馴染みきれず超越を求めた「ヴァイオレット」
6時:多様性の謳歌という新たな価値創出による飛躍を求めた「オレンジ」
7時:“無償の愛”で顕現世界の継続・維持に献身する「コーラル」
5時:あくまでも依存を嫌い、存在の根拠を自らの中に求めた「ゴールド」
3時:全体との調和のなかに個を確立しようとした「オリーブグリーン」
1時:子供のように直感を信頼し、その伝達を楽観した「ターコイズ」
11時:明晰さと果断のゆえに世界での役割に悩んだ「ロイヤルブルー」
さて、「ロイヤルブルー」が、あたかも地上で王権を引き継いだ者にのみ許されるかのような“ハムレットの苦しみ”を悩んでいたその同じころ……。
じつは、その「ヴァイオレット」をはさんだ反対側の隣でも、ある意味できわめて特殊な思いが兆しはじめてました。
というのは、この位置には「カラーローズ」のそのほかの位置にはないちょっと特殊な事情があったからです。
その位置からは、じつは出揃った「カラーローズ」のすべての“種”、つまり先行する“意識の意図”がすべて一望のもとに眺められたのです。(@_@)
それは、個々に狂おしいほどの“正当性”を抱えた“種”が、それぞれ自らの位置の“妥当性”を自己主張している壮大な“人間心理”のパノラマでした。
それらの意識の位置の正しさと妥当性が理解できればできるほど、そのうえ新たに自らの妥当性を主張することなど憚られるほどの、それは光景でした。
しかし、たまたま“人間心理”の展開の最終場面に立ち会ったこの意識の位置は、同時に自分が「カラーローズ」の一員であることも自覚していました。
ドイツが生んだ天才ゲーテが「マジェンタ」と名づけたこの人間心理の“種”は、一種特別な運命を担った“意識の位置”です。
それは、あたかも、相互に矛盾する二つの命題を一身に担うことを運命として定められていたかのようでした。
というのは、「マジェンタ」は“人間心理”の展開ダイナミクスのアンカーとして、全メンバーからの注目を一身に浴びることになったからです。
それはまるで、現象世界の“意味”の総仕上げを期待されたかのようでした。
しかしまた、「マジェンタ」自身が「カラーローズ」の一員でもありました。
「マジェンタ」は「ヴァイオレット」と「レッド」の中間にあって、この二つの“意識の位置”を調和的につなぐ役割も期待されていたわけです。
「カラーローズ」全体のアンカーとしてそこからの“超越”を期待されながら、同時に1メンバーとして調和的にそこに位置しなければならない……。
一方では、顕現世界を生んだ“人間心理”の「元型」の最終ランナーとして、自らの手で顕現世界の存在意義そのものを仕上げなければならない。
が、また一方では、ゴールのない“永遠の変化”の中間走者として、次の走者の「レッド」にバトンも渡さなければならないのです……。
(-_-)
「マジェンタ」には、先行するすべての人間心理の発生経緯とその妥当性が見えていました。
自らの恣意と選択で、先行者のなかでどの“意識の位置”がいちばん妥当性が高い、などと判断することはとうていできませんでした。
そんな態度をとるには、「マジェンタ」の理解力と親和力は高すぎました。
何よりも運命的なのは、「マジェンタ」が、顕現世界にどうしても馴染めない「ヴァイオレット」と、その顕現世界を起動した「レッド」の間に兆した音色だったということです。
前にも触れたように「ヴァイオレット」は、「ブルー」と「レッド」のあいだに潜在する葛藤の化身です。
「ヴァイオレット」は、顕現世界に対する“違和”を代表し、またそれゆえに顕現世界からの“超越”を願うエネルギーの代表者です。
そして「レッド」は、良くも悪くも、顕現世界を自らの手で始動した張本人なのです。
「マジェンタ」は、その「ヴァイオレット」と「レッド」の間に兆した子どもでした。
当人が望むと望まぬにかかわらず、自分(「マジェンタ」)のなかを流れているのはその「ヴァイオレット」と「レッド」の血です。
より厳密に言うなら、自分(「マジェンタ」)とは、その「ヴァイオレット」と「レッド」のことです。
いずれにしろ、ここでの、つまり自分(「マジェンタ」)の音色こそが、この顕現世界の結論的な響き、ある意味、究極の音色となることは避けられません。
「マジェンタ」は、もういちど、あらためて自分のまわりに出揃ったすべての人間心理の“種”を、その“意識の位置”を見渡します。
いまや「カラーローズ」の全員がなりを潜め、固唾をのんで、「マジェンタ」の発声を待っているようです。
すべてはこの一瞬にかかっているのです。
左手を見れば、万感の思いを込めて自分にバトンを託した「ヴァイオレット」がいます。
右手には、信頼を込めて自分からのバトンを待っている「レッド」がいます。
自分のメッセージは、無事に次の走者「レッド」の手に届くものでなければならない。
調和的に「カラーローズ」のなかに収まるものでなければならない。
しかし、同時に、「ヴァイオレット」から自分に託された顕現世界からの超越の希求も満たすものでなければならない……。(-_-;)
見渡すかぎり、「カラーローズ」のこれまでの先行者たちの思いに修正すべき点など何ひとつ見あたらない。
全員の思いが妥当であり、全員の意識の位置が正しいのです。
他に言うべき言葉などあるでしょうか?
全員が固唾をのんで待つなか、「マジェンタ」は言うべきことを言わなくてはなりません。
「マジェンタ」は、しっかりと「カラーローズ」の全員を見渡し、そして静かに宣言します。
「これでいい、すべてそのままでいい」
一瞬、「カラーローズ」のなかの静寂はさらに深まったように思われました。
それから、「カラーローズ」のどこかから、微かに吐息のようなものが漏れるのが聞こえました。
大歓声が起こったわけではありませんでしたが、かといって、そこに不満の声が満ちているようでもありませんでした。
それぞれの意識の位置は、それぞれ自ら何かを納得し、そしてその得心を深めているようでもありました。
自分が起動した現象世界が全面的に肯定されるこのメッセージを聞いたとき、「レッド」は、肌が泡立つような猛烈なエネルギーが身うちに沸き上がってくるのを感じていました。
ところが不思議なことに、もう一方の「ヴァイオレット」も、なにか自ら深く納得するところがあるようなのでした。
「これでいい、すべてそのままでいい」
このメッセージを聞いたとき、反射的に「ヴァイオレット」に起ころうとした反応は、拒絶反応とも言うべきものでした。
しかしその拒絶反応の没入することを何かが引きとめました。
それはもしかしたら「マジェンタ」が自分(「ヴァイオレット」)と「レッド」の間に兆した子どもであるという事実だったかもしれません。
「マジェンタ」は、「レッド」が起動した生命世界を全肯定したいのと同じくらい強く、この顕現世界を超越したいと願っているはずなのです。
その「マジェンタ」が、“全肯定”と“超越”のメッセージとして発したのが
「これでいい、すべてそのままでいい」
だったのです……。
「ヴァイオレット」はひとり何かを得心し、沈黙しました。
この「マジェンタ」のメッセージは、「カラーローズ」の個々のメンバーによって、不思議なほど静かにそして深く受け入れられました。
それは「オレンジ」による“創造の賛歌”のように、大歓声をもって迎えられたわけではありませんでした。
というのも、個々の意識の位置にとって、それは全面的な共振対象ではなかったからです。かといってどこかに不満を残したわけでもありません。
しかしなぜか、「マジェンタ」の光の中ではすべてが受けいられるようにも感じられたのです。
ほかの人間心理の“種”にとっては、それは一種の“別れの歌”とも聞こえたのかもしれません。
原色「レッド」と二次色「ヴァイオレット」の間の三次色「マジェンタ」は、「カラーローズ」の9時の位置に“ヴェシカ・パイシス”で造形されます。
11時の位置に“ヴェシカ・パイシス”で造形されます。
全体への視界
独存の平和
明晰な視界 (ブルー) 直感の信頼
自尊と決断 伝達への楽観
(ロイヤルブルー) (ターコイズ)
生存への違和 → 見晴しへの願望
生超越への希求 ← 調和と協調
(ヴァイオレット) (グリーン)
生命の全肯定 協調への意志
囚われの放棄 ・ 許容と配慮
(マジェンタ) (オリーブグリーン)
生命への熱情 → 個別への意志
生欲望と安定 ← 自尊と不安
(レッド) (イエロー)
無償の愛 自立への希求
報われぬ愛 智慧と恐れ
(コーラル) 創造への賛歌 (ゴールド)
帰属と献身
(オレンジ)
……。
また機会があったら、このあとどんなダイナミクスで三次色が生まれ、それらがどのような人間心理を代表するのか、そんな連想を楽しませていただくかもしれません。
いつもお断りしているとおり、これは「オーラソーマ」で認定された見解ではなく、「オーラソーマ」がゲーテの色彩論から引き継いだ「カラーローズ」という素晴らしいツールに触発された、まったく自由な立場からの連想です。
お付き合いいただき、ありがとうございました。<(_ _)>
pari 記(初出『オーラソーマ通信』の記事から編集)