レディポルシャの魅力

こんにちは、東京・アマーリエのティーチャー
上野香緒里です。

私は現在サロン&スクール業と平行して、大学院で西洋哲学を研究中。

現在私は、クイントエッセンスに対応する14人のマスターについて、14回のオンラインクラスを開催中です。

先週はレディポルシャについて分かち合いました。

ちょうど10月4日にはマイク・ブース学長のグローバル瞑想でもレディポルシャをとりあげるようですので、ここではレディポルシャという人物のプロフィールとマスターとしてのはたらきについてちょっと考えてみようと思います。

「B59 レディポルシャ」(ペールイエロー/ペールピンク)


https://artbeing.com/aura-soma/equi/B059.html

レディポルシャはシェイクスピアの『ヴェニスの商人』という戯曲の登場人物で、父親から莫大な遺産を継いだ貴婦人で容姿端麗、さらに法学博士でもある才女です。

一般的には「レディポルシャ」よりも「ポーシャ夫人」「ポーシャ」と呼ばれています。

ポーシャは素晴らしい人間性を持った人物として、シェイクスピアの物語に登場する女性キャラクターのなかでも知名度が高く人気がありますが、ただ美しくて賢いから人気があるわけではありません。

彼女が最も賞讃されている特質は、賢さに加えて慈悲の心を持っていることでしょう。

ここには「賢さ」すなわち明晰で正しい判断力や正義を重んじる精神といった質と、「慈悲」すなわち思いやりや寛容さや受容性といった質の対比があります。

この対照的な両方の質を兼ね備えているからこそポーシャの人間性が賞讃されるのです。

これはどういうことでしょう?

ヴェニスの商人の作中で最も有名な場面のひとつに裁判のシーンがあります。

ポーシャは彼女の婚約者の親友・アントニオが、悪徳高利貸し・シャイロックによって窮地に陥れられたところを救うべく、法学博士に扮して法廷に立ちます。

アントニオを追いつめるために、証文という動かぬ証拠を突きつけ、己の正当性を主張するシャイロックに、ポーシャが慈悲の徳性を説く、物語上でも最も美しく有名なポーシャの台詞を以下に抜粋します。

「慈悲は強制されるものではない。
 恵みの雨のごとくに天より降りそそぐ、この下界に。

 そこには二重の祝福がある、与えるものに、
 そして受けとるものに。

 最強なるもののうちの最強なるもの
 それは玉座にあるものには王冠よりふさわしいものとなる。

 王の杖(王笏)は仮の世の権力を示すもの、
 人びとを畏怖させ跪かせるしるしでしかない、
 そこにあるのは王に対する畏れだけだ。

 だが慈悲は笏を与えられた権力にまさり、
 王たるものの心の玉座に座を占め、神自らの象徴となる。

 地上の権力が神に似た姿となるのは慈悲が正義を和らげるとき。

 それゆえユダヤ人(=シャイロック)よ、
 お前の主張は正当だが、そこを考えよ。

 正義の一本槍では、我々ひとりとして救いにはあずかれない。

 我々は祈って慈悲を願う、
 その祈りそのものが我々すべてに教えている、慈悲を施せと」

オーラソーマとしてのポーシャのメッセージは「裁くなかれ」です。

しかし私たちは日々何か(ランチに何を食べようかとか)を裁いて(判断して)いるし、むしろ判断せずにはまともに生活できないでしょう。

だからポーシャの説く「裁くなかれ」とは、文字通り何も判断するなということではなく、「正しく判断しなさい」という意味ではないでしょうか。

だとすれば今度は、何が正しい判断なのかが重要になってきますね。

レディポルシャのボトルの上層はペールイエローです。

この色が現すのは、明晰さによって物事をはっきりさせることができる能力です。

それは万人が理解し納得できる(例えば法律のような)正しさの基準をもたらし、この世から不透明さや不公平さを失くすことができます。

しかし何が正しいかは個人や文化によって異なるものなので、どれだけ正しさの基準を定めても、全員が心からすっきりしないことも多々あるでしょう。

「わかっちゃいるけど(もやもや)」「確かに正論ではあるけど(もやもや)」などなど。

正しさや正義は、形として私たちの生活を整えることはできるでしょうが、ほんとうの正しさのためには何かがまだ足りないわけです。

そこで「慈悲」が重要になってきます。

レディポルシャのボトルの下層はペールピンクです。

慈悲は何も判断せず、何も裁きません。

恵みの雨のごとく、天からすべての存在に降りそそぐものだとポーシャは言います。

善き人にも、もちろん罪人にも。区別なく。

慈悲は正義や権力に勝り、正義を和らげる。
正義だけでは救いはない、と。

慈悲は無条件にすべてを許すものなのです。

つまり「正しい判断」とは、愛と思いやりが伴った・良心に基づいた判断のことであり、それこそがポーシャのメッセージ「裁くなかれ」の真意ではないでしょうか。

実際の裁判でも情状酌量があるように。

正義と慈悲という対比的な質を兼ね備えるだけでなく、バランスをもたらすことが重要なのです。

対比的な質にバランスをもたらすことは簡単ではないかもしれません。

しかしだからこそ、それができたポーシャは賢夫人と呼ばれたのです。

それは単に豊富な知識や経験を持っている賢さということではなく、自分を(他人を・物事を)慈悲なく判断することは誰にも心の利益をもたらさないことをよく理解している賢さであり、自分を(他人を・物事を)あたかも天秤が釣り合うように中立的でジャッジのない心から判断できる賢さです。

ポーシャは天秤を手に持つ姿で描かれることがよくありますが、これはローマ神話のユースティティアに由来があると言われます。

ユースティティアは正義の女神であり司法や法律のシンボルでもあります。

彼女は片手に正義の象徴である天秤を、もう片手には力の象徴である剣を持っています。

また、クイントエッセンスのレディポルシャは、自分に否定的なジャッジを下しがちな人、すなわち自分に厳しい人に慈悲を思いださせてくれ、それによって偏った自己認識にバランスをもたらし、自分を正しく認識できるようにはたらきかけます。

https://artbeing.com/aura-soma/quint/Q10.html

※逆に自信過剰な人にも良いです、もちろん他人や物事の偏った認識にも。

そして、ゴールドの質と結びつき、(天秤が釣り合うような)自分の中心に定まった意識に戻ることを助けます。

ちなみに余談ですが。

ポーシャは先の裁判のシーンで慈悲を説くだけでなく、機転を利かせてシャイロックを逆に追いつめることに成功します。

弁が立つというかものは言いようというか、やはり頭が切れる女性です。

さらに婚約者が親友を助けるために手放してしまった婚約指輪を、ポーシャはいきさつを全部知ったうえで「指輪がないけどどうしたのかしら?」と問い詰めドッキリを仕掛ける(笑)、お茶目な一面もあるチャーミングで魅力的な女性なのです。

『ヴェニスの商人』は喜劇ですので難しくなく楽しく読めますので、レディポルシャを知りたい人はぜひ原作を読んでみてくださいね。

きっとポーシャの魅力にハマりますよ!

上野香緒里 プロフィール

オーラソーマスクール&サロン「アマーリエ」代表
英国公認オーラソーマティーチャー/レベル3(上級)
リコネクションプラクティショナ-/レベル1・2・3
奇跡のコーススタディティーチャー
コズミックダイアリー(13の月の暦)講師
ユニオミスティオイルセラピスト、レイキヒーラー

HP:http://www.amarlie.com
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